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Life with PORSCHE

あなたの知らない、ポルシェの話。

それは、クルマではないのかもしれない。

ある文筆家による、パートナーの話。自分の話。

あなたにとってポルシェとは何か。そう聞かれると、僕はこう答える。ずっと一緒にいたいと思える、自分を高めてくれる友だちのよう。会うたびに、感動とよろこびを与えてくれるパ—トナー。

さらに言えば、学び多き永遠のライバル。そんなふうに、ポルシェはクルマであるけれど、いつしか僕にとって、クルマであることを忘れさせる存在となっている。

かくして愛すべきスポーツカーである、と。はじめてポルシェの運転席に座り、ステアリングを握った時のことを今でも忘れられない。「さあ、一緒に楽しもう」と、ポルシェがそっと僕に語りかけたあの日。

それから今に至って、僕とポルシェは、運転という喜びとともに対話をし続けている。そして、その対話は、ささやかなストーリーとなって、僕の日々をあたためてくれている。

僕はこう思う。来たるポルシェ70周年の歴史とは、ヒトとクルマのクロニクルの育みであり、運転を楽しむために、常に未来をかたちとった新しさへの歩み。

ポルシェを運転すれば、どんなゴールにでも行けるという、ゆるぎない美学の追求である。

その歴史に自分が体験者として関わっていることが、とても嬉しい。手を胸に置いてしあわせを感じている。

僕はいつも、好きな人と会う時と同じように、磨きをかけた靴をはき、アイロンをかけたシャツにネクタイをしめて、ポルシェの運転席に乗り込む。ポルシェというひとつの上質に、ふさわしい自分でありたいと思うからだ。

その気持ちは、運転すればするほどに自然と湧いてくる。好きだからこそ、自分なりの精一杯の身だしなみを整えたくなる。まるでデートに出かける前の、無邪気な少年のような気持ちを思い出す。

ポルシェは、今日僕に何を語りかけてくれるのだろう。何を学ばせてくれるのだろう。どんなふうにして僕を新しくしてくれるのだろうと、わくわくした気持ちで胸がいっぱいになり、「今日も一日を楽しもう」と励まされている。時折、ポルシェは僕にこう問いかけてくる。

「ほんとうの豊かさとはなにか?」「しあわせな暮らしとはなにか?」と。その答えを導き出すために、ポルシェと対話するように運転をする自分がいる。

そんなふうにポルシェは、僕の日々の暮らしをしっかりと支えてくれている。

ポルシェとの出会いがなければ、今の自分はいないとさえ思っている。

Words:松浦弥太郎 / Yataro Matsuura

Life with PORSCHE

ドキュメンタリー

Episode 1 「僕のライバル」

一つ目のエピソードに登場するのは、Life with PORSCHEの書き手であり、暮らしについて考えることを生業とする松浦弥太郎さんです。松浦さんにとってポルシェは生活の一部であり、自分を高めてくれるパートナー。その出会いの瞬間は、どのようなものだったのでしょうか。

STORYTELLER

松浦弥太郎 / Yataro Matsuura
「くらしのきほん」主宰 / 文筆家
2005年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。2017年、(株)おいしい健康・共同CEOに就任。「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。

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