これは物理の問題です。最新型車両の性能は常に向上している為、最新型スポーツカーの車台の基本構造にかかる力およびモーメントも高まっています。快適性および安全性の追求のためにも装備は追加され、それによりさらに車両重量が増加し、ボディにかかる負荷も高まります。
こうした開発は、911シリーズの基本構造の重量推移にも明らかに影響しています。
タイプ997クーペの場合、タイプ964クーペに比較して約33%重量が増加しています。そして、できるだけ重量増を抑えるためにより軽量で剛性のある素材が多く使われるようになった991は26kg削減できました。
モデル | 964 | 993 | 996前期 | 996後期 | 997 | 991 |
ボディ重量 | 207kg | 216kg | 240kg | 256kg | 275kg | 249kg |
ボディータイプは基本的に3種類のボディグループに分けられます。
純スチールボディ
複合素材ボディ
CFRPモノコックデザイン複合素材ボディ
991には複合素材ボディが使われています。
馬のてい鉄は、実質的に何度でも変形させることができます。かつては、大部分のボディーコンポーネントは、そのような高再成形特性のカーボンスチールで作られていました。
しかしながら、強度および重量に関する要求事項が高まり、高高張力鋼、非鉄金属(アルミニウム等)及びプラスチックを使用するようになりました。これらは再成形性を制限する事になりました。高高張力鋼など素材が鉄であっても以前の板金修理のように叩いて直すことはできないのです。
ポルシェの複合素材車両の修理を行う際は、修理の手順を正確に実施することが、とりわけ重要です。ボディ修正機上で行う従来のスチールボディの修理と比較して、重大な相違点があるのです。
例えば、ケイマンのフロントエンドの損傷の修理の場合、電子測定装置を使用し、はじめて損傷の診断が可能です。モデル別のソフトウェアに約60か所の測定位置が保存されており、測定値を確認したのち、許容範囲を超えた損傷がある場合、コンポーネントは交換しなくてはいけません。再成形はできないのです。その許容範囲は±2mmです。アルミニウム製フロントセクションの交換はまずすべてのリベットを取り除き、全ての溶接及び接着接続部分を分離します。
交換部品は測定ボディ修正機に取り付けます。これにより各取り付け手順の後にコンポーネントが必要な許容値内にあるか確認できます。これにより、車両のハンドリングと安全性が確実にできるのです。
このような、ポルシェのボディリペア作業をマニュアルに従い実施するためには専用のワークショップ設備が必要です。
これらの装備を完備したポルシェ認定BP工場により、万が一の事故の際にも新しいポルシェ車の複合素材ボディの損傷分析および修理を精確に行う事ができるのです。
ポルシェ認定BP工場での作業の受付は全国のポルシェセンターで受け付けています。