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『VOGUE JAPAN』エディター
中村真由美

ファッションのパワーを信じ、これからもあらゆる次元で“VOGUEらしさ”を追求していく。

「VOGUEで働く一人として、またVOGUEというブランドに憧れ続けるファンの一人として、これから大きく変わっていくVOGUEに少しでも携わりながら、その変化を見届けていきたい。それが今の夢」

自分の夢を誰かとシェアしたら、喜びはさらに増す

「ポルシェ ジャパン」が展開する『Dreamers. On.』は、夢を追い続ける人々の刺激的なストーリーに焦点を当てたプロジェクトだ。その一環として3月1日にリリースされたオリジナル動画は、3月8日の「国際女性デー」に合わせたスペシャル企画で、世界的なファッション誌『VOGUE JAPAN』と連動し、夢を追う女性たちを応援することを目的に作られた。

動画では『VOGUE JAPAN』のスタイルアイコンとしておなじみの俳優・夏木マリさんをナビゲーターに、ジュエリーデザイナーのMIOさんらが、自身の思い描く夢について語っていく。そのなかで夏木さんが「夢って、思い描いているだけじゃ実現しないでしょう。自分が動けば、夢がだんだん近づいてくる。周りの人も、きっと助けてくれる。人が一人では生きていけないように、夢だって、一人だけで叶えるものではないのだから」という言葉は、夢を追う多くの女性たちを勇気づけたはずだ。

この動画制作に携わった『VOGUE JAPAN』のエディター、中村真由美さんも、この夏木さんの言葉に共感を覚えたと話す。

「一人だけで夢を追うこともかっこいいけれど、いろいろな人と夢をシェアできたら、喜びは何倍にもなるし、逆に悲しみや辛さは軽減されるかもしれない。夢を叶えたいなら、どれだけの人を巻き込んで、その夢を自分だけではなく、みんなのものにできるかが大事なのではないかと思いました」

ファッションには心を豊かにする力がある

彼女が『VOGUE JAPAN』に入社した2002年当時は、まだまだ男性中心の社会であり、仕事をする上でも何かと男性が優遇されていた時代だ。そんな状況を踏まえ、彼女は「女性であることがアドバンテージをとれる会社で働きたい」と思い、女性エディターたちがいきいきと働いていた編集部に入ったという。入社2年目にして雑誌以外のスペシャルプロジェクトも担当するようになり、その後も目の前にある仕事に真摯に向き合い、楽しみながら着実にキャリアを重ねていった。

「この20年間は、常に自分のキャパシティを超えるような難しい仕事をこなすことに精一杯で、悩んでいる暇なんてないという感じでした。ただ、そのなかで私が唯一感じた“壁”が、2011年の東日本大震災。明日飲む水もなくて困っている人がいるのに、自分は今、何をやっているんだろうと……」

その年の秋、『VOGUE JAPAN』による震災のチャリティーイベントの開催が決まり、イベント前に彼女は上司とともに気仙沼を訪ね、実際に被災した方から話を聞く機会を得た。津波で骨組みだけになった建物を目の当たりにし、また当時の状況を淡々と語る被災者の言葉に大きな衝撃を受けた彼女は、イベントの収益を何に変えたら被災者たちは喜んでくれるのだろうかと尋ねたという。返ってきた答えは思いがけないものだった。

「その方は『子どもたちにかわいいマフラーやきれいな色の手袋を寄付できますか?』とおっしゃったんです。『かわいいなと思いながら身に着けたら、その温かさはきっと何倍にもなると思う』といわれ、ハッとしました。改めて、私たちが日々接しているファッションが持つ力を教えていただいたんです。ファッションが心を温め、人のためになるんだと。それからは気持ちを切り替えて、より多くの人に夢や心の豊かさを届けられるようなものを作りたいと思うようになりました」

「ファッションは人の心を豊かにするもの。そのファッションの力を信じて、より多くの人に夢を届けられるようなものを作っていきたい」

変わりゆくVOGUEの未来を見届ける

彼女が入社したころはプリントマガジンが主だった『VOGUE JAPAN』だが、今はウェブという新たなプラットホームが加わり、それぞれの特性を生かして“ファッションの今”を発信している。そんな時代が変遷するなか、『VOGUE』というブランドも大きな転換期を迎えているという。

「今、世界的にトランスフォーメーションを行っている最中です。VOGUEはもともと発行する国によって、個性もクリエイティブの方向性も全然違いました。でも、このグローバルでボーダレスな時代に合わせて、もっと各国で協力し合ってコンテンツやテーマを一緒に作ってみたり、各国の情報をシェアし合ってグローバルにコンテンツを作っていこうという流れになっています。まさに夢のようなことが起こっているんです。私はVOGUEで働く一人として、またVOGUEというブランドに憧れ続けるファンの一人として、この大きく変わっていくVOGUEに少しでも携わりながら、その変化を見届けていきたい。それが今の夢ですね」

今でも鮮明に覚えていると話す、入社初日に見た先輩編集者たちの姿。誌面から抜け出たような華やかなファッションに身を包み、何のリミットもなく、いきいきと楽しそうに働く彼女たちの姿を目にし、そこに少しでも近づくことがこれまでの夢の一つでもあったという。

「本当に素敵な人たちに囲まれて、ワクワクドキドキした20年でしたね。ただあの頃の先輩たちのような輝きには自分はまだまだ遠いと思うので、これからももっと努力を続けたいと思います」