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ジュエリーデザイナー
MIO

課題に目を背けず、唯一無二な天然ダイヤモンドを未来永劫受け継がれるジュエリーに。

「天然ダイヤモンドの魅力やパワーを信じている私としては、採掘している国や地域の人々に利益を還元する仕組みを作るのは使命だと思うし、それができて初めてビジネスが成立すると思う」

物心ついたころから将来は“ものを作る人”に

「ポルシェ ジャパン」と世界的なファッション誌『VOGUE JAPAN』が連動して制作したオリジナル動画『Dreamers. On.』。ナビゲーターとして登場している俳優・夏木マリさんとともに、自身の夢を語ってくれたのがジュエリーデザイナーのMIOさんだ。

父親はグラフィックデザイナー、母親はジュエリーデザイナーという環境で育った彼女は、物心ついたころから『将来はものを作る人になる』と思っていたという。

「きっかけは、20歳の記念に私がデザインした花とウサギのリングを母と親しい職人さんに作ってもらったことでした。それが周りからとても好評で。自分がデザインしたものが形になって、それを誰かが手に取ってくれたらいいなと思うようになり、2011年にジュエリーブランド『Bijou de M(ビジュードエム)』を立ち上げました。そして、2018年により幅広いクリエーションを作るため、新たに『MIO HARUTAKA』を立ち上げたんです」

『Bijou de M』はデイリーに楽しめるカジュアルなジュエリーブランドとして、『MIO HARUTAKA』はよりハイエンドな遊び心にあふれたジュエリーブランドとして、それぞれのスタイルやターゲットを明確に分けた。それが結果的に功を奏し、『MIO HARUTAKA』はパリやNY、L.A.、アトランタなどに展開する世界的な人気ブランドに成長した。

天然ダイヤモンドに関わる者としての使命感

そんな彼女が、今、大きな関心を寄せているのが、ダイヤモンド採掘場の労働環境の改善や労働者たちの社会的地位の向上を目指す活動である。

「ブランドを立ち上げるとき、ダイヤモンドの勉強をしていく中でこの問題を知り、ずっと採掘している人たちを支援する活動をしたいと思っていました。そんなときに特定非営利活動法人『ダイヤモンド・フォー・ピース』(以下、DFP)の存在を知り、現地の人たちに還元するシステムを作るため、『MIO HARUTAKA』の売上の一部をDFPに寄付しています」

天然ダイヤモンドは採掘場のある国や地域の人々の生活を支える重要な産業だ。彼女は、非正規ルートの排除はもちろん、天然ダイヤモンドを用いたジュエリーの需要も喚起し、正当な利益を配分して現地の経済が豊かに回る仕組みを目指している。そこには彼女の天然ダイヤモンドに対する想いがあるからだ。

「天然ダイヤモンドは何億年も前から地球に眠っていたもので、そこに触れるだけで歴史やロマンが感じられます。唯一無二だからこそ、永遠に大切にしてもらえるし、継承されることで物語性も増して付加価値もついてきます。天然ダイヤモンドの魅力やパワーを感じ、信じている私からすると、現地への還元ルートを作るのは使命だと思うし、それができて初めてビジネスが成立すると思うんです」

「今後もやりたいことを恐れずに挑戦していきたい。それによって自分の作り出すものに、さらに付加価値がつくと思うから」

失敗を恐れず、突き進む勇気が大事

『Dreamers. On.』の動画の中で、彼女は『夢を叶えるために必要なのは、ライフイズショート。失敗を恐れずにこうなりたいというものがあるなら、それに突き進むべきだと思う』と語っている。

「何かをイメージすることが、夢を叶えるためには必要だと思う。今後のビジョンなどを思い描いてイメージすることが行動につながるので、それが一番大事だと思います」

今、彼女のBucket Listにはたくさんの夢が記されている。仕事ではロンドンで『Bijou de M』の取り扱いがスタートしたり、2023年には国内のショップがステップアップする予定だという。プライベートでは油絵の再開を始め、「新旧の歴史を感じながら走ってみたい」と「911カレラ」(964型)のオーナーの彼女は新型「911カレラ」(992型)にも興味津々だ。さらに、もう一台所有する「Porsche マカン」に乗って、愛娘と47都道府県を制覇するドライブ旅もしているという。

「平日は夜遅くまで仕事をしているので、なかなか娘と過ごす時間がとれないのですが、大事なのは一緒に過ごす時間の“長さ”ではなく、時間の“濃さ”だと思っているんです。だから、この旅の間は車中でしっかり娘と向き合うことができるので、飛行機や新幹線とはまた違う、クルマだからこそのとてもいい時間を過ごせています」

何かを成し遂げるには、誰かのサポートがなければ難しい。彼女も家族やパートナー、そして友人たちのサポートがなければ、今の自分はなかったという。彼女は周囲への感謝を忘れず、これからも夢を追い続ける。

「今、肩書は一つの時代ではないと思うので、今後もやりたいことを恐れずに挑戦してみようと思っています。それによって自分の作り出すものに、さらに付加価値がつくのではないかなって思っているんです」